毎日がGladな気分
そんなサービスが
あふれる社会へ

glad street

glad street

Well-beingデザイナー

働く人のストレスと職場環境のつながり

GladStreet

「Well-beingデザイナー」では働く人のWell-beingを実現していくためにココロとカラダを心地よくする情報を、保健学博士の島田恭子先生にgladstreet編集長の長内のりこが伺っていきます。わたしたちとともにWell-beingなライフスタイルをデザインしていきましょう。今回は「働く人が感じるストレスと職場環境の関係」についてです。

働く私たちのココロのメカニズム

一般社団法人ココロバランス研究所の代表をしております保健学博士の島田恭子です。今回は働く人が感じるストレスと職場環境の関係についてお話しします。

NIOSH職業性ストレスモデル

この図は米国立労働安全衛生研究所が提唱した働く人のストレスモデルです。

私たちが仕事で感じるストレスには様々なものがあります。オフィスの環境、人間関係、仕事量、将来への不安、裁量権のなさ、勤務形態などなどです。そのストレスが顕在化し、何らかのストレスによる反応が出て、いつしかそれがうつ病などの心の病気や自殺にさえ繋がってしまうわけですが、その過程では、いろいろな要因が関連しています。私たちがもともと生まれ持った遺伝的要因や育つ過程で得られる力、それに家庭や余暇活動など仕事以外の要因もあります。また大切な緩衝要因として、周りからのサポートも大きいです。

どんなに元気に働いていた人、もともとポジティブな人であっても、ストレッサーが過剰になると誰しもメンタル疾患を発症する可能性があることがわかります。 とはいえやはり注目したいのは、個人要因であるストレス対処能力。他の要因は自分だけの力ではなかなか変えづらいものが多いからです。ストレスに対処する力は、持って生まれた先天的な部分もありますが、ご本人の日々の行動、研修や、周りからの影響などで、後天的に身につけられる部分が多いのが特徴です。

職場で感じるストレスの多くは人間関係

職業性ストレスモデルにもありますが、働く人のストレスで最も大きいと言われているのは人間関係です。全体の6〜7割を占めるという統計もあります。そうなると、メンタルケアもまずは対人ストレスに焦点を当てるのが効果的ですよね。

人間関係に悩む方は、マジメでいわゆる“いい人”が多いです。何なら自分のことをわきに置いてでも、相手を優先してしまったり。仕事でつながる関係であっても、その人に真摯に向き合い、自分が疲れてしまいがち。一方「人は人、自分は自分」と割り切れる人は、相手との関係にそれほど重きを置きません。だから気が楽なんです。仕事で出会う人間関係は特に、相手との見えない境界線を意識することが大切です。

心理的安全性が作れる理想的な職場環境とは?

昨今、働きやすさを語る上で「心理的安全性」というワードがよく上がってきますね。仲間や部下とのコミュニケーションのために1on 1を実施している会社もあると思います。私がお勧めしているのは、「皆が冗談を言える組織を目指す」ことです。いわゆる1on1のような形でも、休憩室の団欒でも、コーヒーを取ってデスクに戻る寄り道でも構いません。社内でざっくばらんに話し、冗談が言える環境。そのための仕掛けやコミュニケーション支援に力を入れます。冗談を言って、ダメ出しされたり、「マジメに仕事しろ!」って怒られたりしたら、気軽に冗談なんか言えませんよね。社内で冗談が言えるためには、否定されない安心感、マジメ一辺倒でなくユーモアを持って業務を進めてもいいという心理的安全性があってのこと。そもそも多くの会社が求める「新しい自由な発想」は、心理的安全性や冗談、ユーモアがあったほうが、断然生まれやすいはずです。

窮屈な職場環境からいいものは生まれません。業務上の会話だけでなく、雑談の中にも信頼関係の種が埋まっています。そこに細かなコミュニケーションの水をまくことで良好な人間関係の花が咲くんですよね。

働く人が感じるストレス。思い当たることがある方がほとんどではないでしょうか。私たちは仕事でも日常生活でも、何かしらのストレスを感じているもの。ストレスは悪いものではないのですが、その量が過剰になりすぎると、病気となってしまい、復帰するのに時間もお金も労力もかかってしまいます。そうなる前に、自分の状況を見直してみてもいいですね。


島田 恭子

保健学博士。企業での人材育成の経験から、心の健康の重要性を感じ、東京大学大学院医学系研究科にて予防医学・メンタルへルスを研究。 医学や心理学の知見を、職場や生活に応用する支援を行う一般社団法人ココロバランス研究所を設立し、研究所長を務める。

ココロバランス研究所