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Well-beingデザイナー

Well-beingの要は予防医学

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一般社団法人ココロバランス研究所の代表をしております保健学博士の島田恭子です。初回となる今回は私が行っている活動の中心である予防医学の基本的な考え方についてお話しできたらと思います。

心のメンテナンスは歯のクリーニングと同じ

まず予防医学は、歯医者さんに例えるとわかりやすいかも知れません。ひと昔前、歯医者さんはむし歯になったら治療に行くもので、予防という観点はほとんどありませんでしたよね。最近ではメンテナンスやクリーニング、ホワイトニングで行くという予防歯科の重要性が浸透しています。

一方予防歯科の先進国である北欧諸国では20〜30年前から予防の概念が浸透していました。日本はその周回遅れ、といった感じ。それからさらに遅れてようやく近年になって予防の大切さが認識されはじめたのがメンタルヘルス(心の健康)の分野です。

 むし歯になって、「こりゃ大変だ」となってから行く場所だった歯医者さんが今は、痛くなる前の予防として通うところになっているのと同じように、私たちの心も、予防としてのケアが必要です。しかし残念なことに、現在でも日本は、心の予防的ケアができているとは言い難い状況です。だから国の医療費に占める精神疾患の割合は多く、いわゆる「うつ病」や「摂食障害」といったメンタルヘルスに関する疾患で苦しむ方が後をたちません。

心のメカニズムを知りたくてメンタルヘルスの道へ

私自身が心の予防医学に関わりたいと思ったきっかけがあります。

新卒で就職したのは大手コンサルティング会社。最初の配属は人材開発の業務でした。担当する従業員のパフォーマンスや評価から適材適所を考えたり、キャリアや対人関係の悩みに向き合い、ときには上司や人事と連携し解決策を探るのが主な仕事でした。当然新卒ヒヨっこの私にできることは多くありません。

当時のコンサル会社の従業員は馬車馬のように働くのが普通でした。今で言うブラック企業ですね(笑)。そんな中必死で従業員のケアに関わる中で、2つのこんな疑問が生まれました。

  • 「なんでマジメな人ほどうつ病になるんだろう?」
  • 「同じ過酷な環境でも、元気で楽しそうな人と、どんどん落ち込んで抑うつっぽくなっていく人がいるのはなぜ?」

と言うこと。

この連載でおいおい、これらの疑問にお答えしようと思いますが、このような働く人の心の健康に関する??がどんどん芽生えてきたんです。

そんな疑問と、「自分の不勉強のせいで何もできない」という不甲斐なさが相まって、メンタルヘルスを体系的に勉強するべく30歳を超えてから大学院に入りました。

座学や研究はもちろん、初めて見る精神科病棟での臨床、クリニックでのカウンセリング、企業での相談対応、海外の事情など、多くを学びました。

痛感したのは、「自分は大丈夫!」と思っている人がいかに多いかということ。心の病は環境によって誰しもなりうるということ。いったん病気になってしまうと回復するのに膨大な時間とお金と労力がかかる、ということです。とくに日本人はマジメ過ぎると言われますよね…。周りをみすぎてついつい頑張りすぎてしまう。気づいた時には疲れ切って、自力では回復できないところまで行ってしまう、本当にあるあるです。

心の予防医学が進んでいるアメリカ

20年ほど前のアメリカでは、すでに至る所で心の予防ケアが始まっていた印象があります。私は婦人科検診で受診したのですが、まず通されたのがカウンセリングルーム。1対1で時間をかけて、体や心について気がかりなことについて話す機会がありました。また学校でも相談員のような人が校内を巡回していて、いろんな人に「元気?」と話しかけています。最初は「この人誰だろう?」と思っていたけど、まさにその人が、学生や教職員の心と体の健康を自然とチェックしていたんですね。

時はすぎ日本でも今や、「メンタルヘルス」という言葉が知られるようになり、企業や学校、地域でも心の健康に関する専門家が増えてきましたが、、まだまだ一般的ではありません。

この対談では、ウェルビーイングにまつわる様々なトピックについてお話していきますが、今回取り上げた「心の予防医学」は、ウェルビーイングを語る上で、極めて重要な側面です。今後も折に触れて、予防医学やメンタルヘルスに関する話題を共有していきたいと思います。


島田 恭子

保健学博士。企業での人材育成の経験から、心の健康の重要性を感じ、東京大学大学院医学系研究科にて予防医学・メンタルへルスを研究。 医学や心理学の知見を、職場や生活に応用する支援を行う一般社団法人ココロバランス研究所を設立し、研究所長を務める。

ココロバランス研究所