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Industryアーティスト

リアル体験をとおしてさらなる顧客体験向上を目指す「津軽びいどろ」

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企業名:アデリア株式会社
住所:東京都江東区東陽2-2-20 東陽駅前ビル7階
TEL:03-4582-3962
URL:https://aderiacompany.co.jp/(アデリア株式会社)
     https://tsugaruvidro.jp/(津軽びいどろブランドサイト)

青森県の伝統工芸品であるハンドメイドガラス「津軽びいどろ」。製造しているのは青森県にある北洋硝子株式会社、製品の販売を行っているのがアデリア株式会社です。今回は2023年3月10日にオープンする津軽びいどろ東京ミッドタウン八重洲店店長の井筒さんに初出店の理由、店舗のこだわり、オープンに向けての意気込みを伺いました。

新たな価値を創造し続ける伝統工芸品「津軽びいどろ」

1996年、青森県伝統工芸品に指定された「津軽びいどろ」はガラスの成形技術と色ガラスを掛け合わせた、見た目にも美しい工芸品です。住宅事情や生活スタイルの変容に合わせたアイテム、日本の四季をイメージした色の開発、新たな技法も取り入れ、普段づかいできる伝統工芸品”として誕生しました。ラインナップは食器や酒器、花瓶、風鈴などの日用品からインテリアまで幅広く揃います。透き通るガラスの美しさ、手作りならではの曲線美、優しい色ガラスの豊かな彩りが楽しめます。

「「津軽びいどろ」では、新しい価値を生み出すために有名企業とのコラボレーションした商品開発にも積極的に取り組んでいます。世界的コーヒーブランド「スターバックスコーヒージャパン」やアパレルセレクトショップを展開する「ビームス」、生活雑貨屋やカフェを展開する「アフタヌーンティー」などとのコラボ製品はどれも話題となりました。また、アニメとのコラボレーションは海外でも注目されています。」と話す井筒さん。

トレンドのブランドやアニメとタッグを組んだことで、若い世代へも伝統工芸品のすばらしさを伝える機会にもなっているようです。

「津軽びいどろ」がリアル店舗を東京にオープン

津軽びいどろの商品はこれまで販売店や卸売業者向けに販売してきましたが、2023年3月10 日全国初出店となるオフィシャルショップを東京ミッドタウン八重洲にオープン。ショップでお客様に直接商品を販売するというのは今回が初めて。今までB to Bでの販売形態だったので、今回初めてB to Cでお客様の反応を直接確認できるということになります。

津軽びいどろ 東京ミッドタウン八重洲

また、津軽びいどろ公式オンラインショップもあります。時代の流れもあって、オンラインショップが主流になって来そうな気がしますが、今回東京ミッドタウン八重洲で出店することにどんな意味があるのでしょうか。

「リアル店舗でしかできないことがあります。オンラインですと画面越しでしか商品をご覧いただけません。実際の商品の重さや質感や色味などを見ていただくのは大切ですね。手に取った直感でいいなと思って購入するということもあると思います。商品やブランドを知ってもらうきっかけ作りとしてリアル店舗がキーになるはずです。

リアル店舗でお客様に製品に込められた思いを伝えていきたいと話す井筒さん。

「当社で取り扱っている商品はプレゼントとして購入されるお客様も多くいらっしゃいます。自分で使ってみていいなと思ったものを人にあげると、そこに自分の思いも乗せてプレゼントすることができますよね。そんな風に思いが繋がっていくことをリアル店舗で実現していきたいと思います。」

出店のためのスタッフ研修で起こった劇的な変化

オープニングスタッフということで今回9人を採用。その中で津軽びいどろを知っていたのは青森出身の3人だけです。

「B to Bの場合、販売店にいかにたくさん仕入れていただくかというプレゼンになりますが、今回は消費者の方に直接ご案内ができるので、ブランドの魅力を伝えていくことが大事になってきますね。そのために販売スタッフは商品の知識をしっかりと持っていないといけないということで当社のある青森まで来てもらい研修をしっかりと行いました」

研修では、製造工程を見たり、工場長の話を聞いたりして知見を深めます。2023年1月12日から期間限定で東京・品川駅構内にある「エキュート品川」内、2月15日からは同じく東京・上野駅構内「エキュート上野」でポップアップを行い、そこでスタッフ全員が勤務。

「今回初めてリアル店舗で販売しましたが、商品の説明を全員が詳しくできていたことに驚きました。接客の指導は一切していません。商品のポイントやお客様に刺さるであろうワードを教えたくらいです。津軽びいどろの歴史や製造工程、作り手の思いなどを研修で受け取ってくれた結果かなと思い、とても嬉しかったです。

売る商品のことを知らないでお店に立つのはお客様に失礼ですし、せっかく津軽びいどろを知っていただく機会を失うことにもなるのでもったいないです」と話す井筒さん。

津軽びいどろ 井筒氏

ポップアップではもう一つ変化が起こったそう。これまで直接お客様の声を聞く機会がなかったのですが、今回のポップアップでお客様から耐熱のコーヒーカップを津軽びいどろで作って欲しいという意見をもらいました。現状の技術では商品化が難しいものの、貴重なお客様のニーズを知ることができ、できないことを知ったことで販売スタッフの知識も上がるでしょう。東京ミッドタウン八重洲に出店することの裏に様々な期待があります。今後はスタッフの人材育成にも注力していくそう。

商品ひとつひとつに付いた名前にも思いが込められている

商品一つ一つには思いが込められた名前があるのも津軽びいどろの魅力です。「NEBUTA」「春の宵」「HANABI」「夕涼み」など青森や日本にちなんだネーミング。

「もともとはC-2やA-5といったような数字などの商品名だったんです。販売店との取引だったので簡略化されたもので良かったのですが、2014年のリ・ブランディングの際にそれぞれの商品に名前を付けました。お客様にイメージしてもらいやすい方が良いと考えて、コンセプトにある“四季”を感じてもらえるようなものになっています。例えば、商品名が青森の風景になっているといったストーリーまで伝えると、お客様がそのストーリーに合わせてギフトを選べますよね。もらった側も裏にある商品のストーリーまで知れたら嬉しいし、商品に愛着が湧くと思います。販売スタッフにとっても、名前が付いていることでお客様とのコミュニケーションのきっかけになりますよね。」(井筒さん)

サステナブルな製品作りで若い世代にも身近に

製造を行う北洋硝子では、浮玉やビールジョッキでリサイクルした商品も発売を始めました。津軽びいどろの創業当時は浮玉を製造しており、その当時「浮玉」は一升瓶を再利用。また、飲食店で使用した古いビールジョッキを溶かしてアップサイクルタンブラーとして生まれ変わらせる取り組みもしています。

食器や酒器などは日常的に使ってもらうものなので、それがリサイクルされたものであれば、日々使っているだけで地球環境に配慮していることになります。

工芸品というと日常的に触れる機会が少なくなっていますが、店頭で手に取ってみて気に入ったという理由でも、環境に良いサステナブルなアイテムということで興味が沸いたというきっかけでもいいので、自分の身近に感じることがスタートなのかもしれません。

モノづくりとなる生産現場では女性職人も活躍しています。以前は、男性社会で男性の職人ばかりでしたが、近年は女性の職人も増えてきています。

女性職人は箸置、一輪挿しなど女性ならではの感性をもって作り上げる商品を主に担っています。ヘアゴムなどのアクセサリーは女性の職人の発想から誕生しました。

環境面でもジェンダー面でもSDGsの目標達成に貢献していると言えます。

津軽びいどろ 女性職人

青森発東京経由で「津軽びいどろ」を世界へ

今回の東京ミッドタウン八重洲への出店を皮切りに、2店舗目、3店舗目と出店を増やして行けるよう認知を広げていき、世界へも津軽びいどろを広めていきたいと井筒さんは語ってくださいました。

また、これまで以上に様々な企業とのコラボレーションを実現したいとのこと。東京ミッドタウン八重洲内でのコラボなどもできたらいいなという期待もあるようです。また、オープンに合わせて青森の地酒も取り扱うことになりました。硝子メーカーがお酒を扱うのは異例だそうです。青森を代表する地酒蔵元の協力を得て、ガラス酒器の魅力をさらに高めていきたいという熱い思いも伺えました。

津軽びいどろ 井筒氏

オンラインショップなど便利になる一方で、アナログで日本の伝統技術と現代的デザインを融合してリ・ブランディングすることに成功している「津軽びいどろ」。商品に込められた思いをきちんと伝えていくことで、その思いが伝播している最たる製品と言えるでしょう。最新トレンドの商業施設である東京ミッドタウン八重洲はリ・ブランディング第2章となるに違いありません。