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Industryアーティスト

人材育成への投資が
成長の鍵を握る
「サイバーエージェント」

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住所:東京都渋谷区宇田川町40番1号 Abema Towers
TEL:03-5459-0202(代表)
URL:https://www.cyberagent.co.jp/
会社概要:
 社名:株式会社サイバーエージェント
 代表者:代表取締役 藤田 晋
 設立:1998年3月18日
 資本金:7,203百万円(2020年9月末現在)
 事業内容:メディア事業、インターネット広告事業、ゲーム事業、投資育成事業

インターネット広告事業から始まり、メディア事業、ゲーム事業と拡大し、日本を牽引するIT企業となった株式会社サイバーエージェント。人材育成に力を入れている会社ならではの人材に対する考え方や独自の制度について、全社広報室の岩田梨沙さんにお話を伺いました。

スキルよりも企業カルチャーに合う人材かどうかを
採用では重視

インターネット業界は他の産業と違って大型の設備投資が必要ありません。そこで、人材=競争力になると創業当初から考えていたそうです。「人材については「採用」「育成」「活性化」「適材適所」の4つに力を入れています。いい人材を採用して、しっかり育成し、社内組織を活性化しながら、個々が活躍できるように適材適所で力を伸ばしていくことで個人の能力も会社の業績も伸ばしていこうと考えています。」(岩田さん)

採用に関しては創業当初から新卒採用に力を入れてきました。人事だけが採用に携わるのではなく、各部門の社員も面接やインターンなどの採用現場に入っています。管理職はもちろん、若手で活躍している社員も採用チームに入ることもあるそうです。全社横断で採用チームが存在しており、数百名の社員が関わっています。

サイバーエージェントには「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンを実現するための価値観や行動指針を示した「ミッションステートメント」というものがあります。その中にも「採用には全力を尽くす」と明文化されています。「能力が高い人を採用したいというよりもサイバーエージェントの企業カルチャーに合うかどうか、一緒に働きたいと思うかを重視していますね。」と岩田さんは語ります。

代表の藤田晋氏は24歳でサイバーエージェントを設立しました。起業前は人材派遣会社のインテリジェンス社(現パーソルキャリア社)で新卒から勤務。インテリジェンス社は当時、人材派遣業界としては後発企業だったにも関わらず急成長を遂げました。その成長ぶりを内側から見ていて、やはり働いている社員がモチベーション高く働いていることが大切だと藤田氏は実感したそうです。人材力と組織力が競争力につながっていると新卒間もない頃に気付いていました。「会社を立ち上げる時から新卒採用を実施していましたし、創業当時は藤田自身も面接など採用の現場に積極的に出ていました。現在も役員会では人事の話に時間を割いており、人材に対する経営陣の関心が高いです。」(岩田さん)

ここ数年は中途入社の人数も増えています。創業から20年以上経って、浸透している企業カルチャーに合う中途社員が入ってきているので、企業カルチャーを継承しながら、その幅を広げているのでしょう。現在新卒社員と中途社員が半々くらいです。サイバーエージェント社の唯一ある採用基準は「素直でいい人」です。これは言われたことだけをやるイエスマンではなく、変化の早いインターネット業界で変化に柔軟に対応できるかというのがポイントです。変化を受け入れるには素直さが大事になってきます。

ミッションステートメントの中には「チーム・サイバーエージェント」という言葉があります。どの部署でも共通して言えるのが「チーム」を大切にしているということです。

「個人目標はもちろん、組織目標を明確にすることでチームとしての一体感が生まれていると思います。プロジェクトレポートの略で「プロレポ」という取り組みがあり、組織の半期の目標をメンバーみんなで考えてスローガン化して冊子やポスターを作って役員会に提出するんです。このプロレポを作成する際に、事業部長から半期の目標が発表されるのですが、目標と同時にその目標が決まった背景も説明されます。チーム内で目標とその意味をしっかり把握することができるので、チーム力アップにつながっていると思います。」と岩田さんは話します。

子会社の社長に抜擢、
新規事業の提案など人材育成の仕組みの数々

研修も大事ですが、それよりも実際の経験を重視しています。「抜擢」が成長の機会につながると考えているのです。その最たる例が、社員をサイバーエージェントグループの子会社の社長に抜擢すること。「法務や経理などの業務は本体がサポートします。経験がある本体の役員も子会社の取締役で入ります。ただし最終的な決断をするのは子会社社長自身。この決断経験を積み重ねることが成長において重要なので、その機会を意図的に作っています。新卒や内定者の時に子会社の社長に任命される場合もありますよ。」(岩田さん)

「弊社独自の仕組みで「あした会議」という経営会議を2006年から実施しています。これは年に1回開催していて、サイバーエージェントの未来につながる新規事業案を代表の藤田に提案する会議です。10人ほどいる役員がチームリーダーとなって現場社員3〜4人とチームを組み、チーム対抗で新規事業案を提案します。それを審査員である藤田が採点してランキング化されます。決議された案はすぐに実行に移るのですが、例えば新しく立ち上げが決まった子会社の社長に、提案した社員自らが就任するケースもあります。藤田から直接フィードバックがもらえる上に、役員をはじめとする経営陣が何を考えているかを知れる貴重な機会なので、参加社員にとって、モチベーションアップや育成につながっているのではないでしょうか。」(岩田さん)

社員が安心して大きな挑戦を続けられる環境づくりで
長く働ける会社に

今でこそ社員同士仲が良く風通しの良い職場環境ですが、創業当初は退職者が多く、退職率は約30%でした。

「2003年に初めて役員合宿を実施して、会社としての軸を作ろう、人事に力を入れようと決めました。会社が社員を大事にするというメッセージとして「実力主義型終身雇用」を打ち出しました。優秀な人が長く安心して働けるようにと会社を変革した時期です。そこからさまざまな制度が誕生しました。例えば、現部署での勤続が1年以上経つと異動希望が出せる「キャリチャレ」という制度があります。社員同士の仲を良くするために、普段の業務では接点がないメンバー同士でランチに行くときに会社がランチ代を支給する「シャッフルランチ」というものもあります。」

社員の挑戦を応援する仕組みも多数存在します。その中で今回紹介したいのが「GEPPO」と「キャリアエージェント」です。

「GEPPO」は2013年に導入しており、社員のコンディション把握を目的としたアンケートシステムです。質問に対して、晴れ・くもり・雨などの5段階の天気マークで回答します。2問は毎月固定で、一つめの質問は「個人の成果やパフォーマンス」について、二つめの質問は「チームのコンディション」についてです。もう一つの質問はその時々によって変わります。

このGEPPOと同時に「キャリアエージェント」という社内ヘッドハンティングチームが発足しました。GEPPOのアンケートを回収するだけではなく、必要な人には面談をしたり、適材適所で働けるよう部署異動や新規案件の人材配置の参考にしたりしています。毎月のGEPPOの社員の回答率はほぼ100%です。アンケートの最後にあるフリーコメント欄には毎月500〜1,000件近いコメントが寄せられますが、そのすべてのコメントに対してキャリアエージェントが返信をしています。

「GEPPOで上がってきた声を役員会にも届けるようにしています。GEPPOはキャリアエージェントと役員しか見ることができないので、直属の上司に見られることはありません。それなので本心を気兼ねなく書けるのだと思います。」(岩田さん)

社員のモチベーションアップにつながるのが「ほめる文化」です。その代表的なものが半年に1回開かれる全社総会で、サイバーエージェントグループで活躍した個人、チーム、プロジェクトなどを表彰します。コロナの影響で、近年はリアルとオンラインのハイブリッド開催に変更をしています。目指したい場所として舞台や演出にも工夫を凝らし、全社総会での表彰が社員一人ひとりのモチベーションを高める機会となっています。それ以外にも社内の各部署でも、毎月その月に活躍した人を表彰する機会を設けています。

ライフステージの変化がキャリアに影響しやすい女性社員が中長期的に活躍し、キャリアを築いていけるようサポートする女性横断組織「Caramel(カラメル)」もあります。「十人十色の女性の働き方を応援する」をコンセプトに、部署関係なく縦横斜めで女性社員同士が交流できる機会を設けたり、女性リーダー職の育成やスキル向上を目的としたイベントの開催などを行っています。

このように多くの社員を抱えているからこそ誰もが働きやすい環境にするためにさまざまな取り組みが実施されています。

コロナ禍でのコミュニケーション不足解消方法

現在の働き方は、出社は原則、月曜、水曜、金曜の週3日としています。火曜、木曜の週2日はリモートワークです。

「従来は週5出社でしたが、コロナの影響によって全社でフルリモートワークを経験したことで、リモートと出社、それぞれの良さがあるとわかりました。そこで、出社とリモートワークを併用して、効率を考えると出社とリモートワークの曜日も全員で合わせた方がいいという結論に至りました。

サイバーエージェントの場合、0→1で新しい事業を立ち上げることが多く、またチームワークを大切にしているので、社員同士のコミュニケーションが欠かせません。日頃、社内でする何気ない会話の中でプライベートなどお互いのことを知れるのが、リモートが続くと雑談が減って仕事の話しかしなくなってしまうんですよね」と岩田さん。

緊急事態宣言中には、「毎日朝会・夕会を実施」や「雑談の時間を意識的に作る」などの工夫があらゆる事業部から出てきました。会社から一方的に提示するのではなく、各部署が自発的にそのチームに適した方法を見いだしたほうがコミュニケーションも活性化するのではないかと思います。


人材を最も重要と考え、さまざまな施策を行っている株式会社サイバーエージェント。今回ご紹介した以外にも数多くの取り組みがあり、新たな仕組みが次々と生まれたり変化したりしています。変化の早い世の中に対応して働きやすさは変わっていくものです。人を大切にした経営のあり方が、働く社員にとっても、取引先、サービスを受ける側、広く社会全体と株式会社サーバーエージェントを中心としたステークホルダーにとって良い影響を与えています。こういった良いスパイラルが広がっていくと素敵な社会の実現につながることは間違いないでしょう。